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(5) 電源用電池前(2)〜(4)項までのSART装置には、総て下図に示す「NC701」型のリチウム組電池が使用されている。SARTの性能要件は次項で紹介する国際規格をべースに定められており、使用時の電池の容量は受信待ち受け96時間プラス1000PPSのレーダーに対する連続応答8時間以上の規定になっている。
3.2項で解説した通りSARTの1回当たりの応答送信は100μsであり、1000mS間隔(1000PPS)のレーダーパルスに対する連続応答であるので、送信で消費する電力は10%率として取り扱えは良いことになるが、積み付け期間における自己放電や点検整備時に消費する電力の余裕をみた電池容量の設計が行われている。C701型電池は、リチウム電池の特質に配慮して「安全無公害」を大前提に設計されており、−20℃におげる容量も規格が定める2倍以上(約2週間)の能力を持ち−40℃においても前記の規格が定める96時間プラス8時間の動作が司能である。

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図3−6:SART用NC 701型リチウム組電池

リチウム電池は、低温特性が良く保存時の自己放電が非常に少なく、同じ容量で最小の容量と重量を実現できる利点を持つが、小さい体積に大きい容量を詰め込むので、取り扱い不良でショートさせた場合の爆発などの安全の問題、化学成分の如何による毒物的危険や交換廃棄後の第三者に対する公害の問題などの欠点も多い。
NC701型電池は、セル(素電池)毎にショートなどで内圧が上昇したときにガスを抜く安全弁を備えガス自体も無害なものになる化学的成分を選定している。また組み電池の状態では、セル毎をニッケルリボンで繋ぎ、防爆のために温度が下がれば復帰する特殊なヒューズを組み込むと共に安全が確保できるパッケージ構造を採用している。

 

 

 

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